// 原材料表示リファレンス
原材料表示の読み方:豚由来・ゼラチン・アルコール
日本の食品ラベルで、豚由来の原料・ゼラチン・動物性油脂・乳化剤・アルコールがどんな言葉で書かれるのか。用語ごとに読み方と意味、そして表示ルール上「ラベルから分かること・分からないこと」をまとめました。
まず60秒:原材料表示のどこを見るか
原材料は「原材料名」欄に、重量の割合が高い順に並びます。食品添加物は、独立した「添加物」欄か、原材料名欄の中でスラッシュ(/)や改行で区切られた後半部分に、やはり重量順で書かれます(消費者庁)。
添加物は原則「物質名」で表示されますが、乳化剤・香料・酸味料・調味料など14種類のグループは「一括名」だけで表示できます。一括名では、中身の物質や由来(動物性か植物性か)はラベルからは分かりません。
さらに、最終製品に残らない「加工助剤」や、持ち越された微量成分「キャリーオーバー」などは、表示自体が免除されます。つまり「書いていない=使われていない」ではありません。詳しい内容は、ラベルに記載された表示責任者(製造者など)に問い合わせられます — 消費者庁自身がこの問い合わせを案内しています。
豚由来の原料
まず覚える漢字は「豚」。ただし豚由来の原料は、カタカナ語や加工品名の形でも現れます。
| 用語 | 意味と表示上の注意 |
|---|---|
| 豚肉 ぶたにく butaniku | 豚肉そのもの。「豚」の一文字が原材料名に入っていれば豚由来です(豚脂、豚骨、豚エキスなど)。 |
| ポーク ぽーく pōku | 英語 pork のカタカナ表記。「ポークエキス」「ポークブイヨン」などの複合語で、スープ・スナック菓子・カレールウによく使われます。 |
| ラード/豚脂 らーど/とんし rādo / tonshi | ラードは豚の脂(豚脂)です。揚げ油、パン、菓子、ラーメンスープなどに使われます。JAS規格では、豚脂などの動物性油脂を「食用動物油脂」という総称で表示することも認められています — つまりラードと明記されていなくても含まれている場合があります。 見解が分かれる点: 豚由来そのものの扱いは機関の間で大きく分かれませんが、微量の混入や交差汚染をどこまで問題とするかは機関によって基準が異なります。個別の製品の判断は認証機関にご相談ください。 |
| 豚骨 とんこつ tonkotsu | 豚の骨を煮出しただし。ラーメンのスープが代表例で、即席麺の粉末スープや「とんこつ風味」調味料にも入ります。 |
| 豚エキス/ポークエキス ぶたえきす buta ekisu / pōku ekisu | 豚肉や豚骨を濃縮したエキス。スナック菓子、スープ、カレールウ、冷凍食品など、見た目に肉と分からない製品にも広く使われます。 |
| ベーコン・ハム べーこん・はむ bēkon / hamu | 通常は豚肉加工品です。パン、総菜、サラダ、パスタソースの原材料名にもそのまま現れます。 |
| コラーゲン こらーげん korāgen | ゼラチンの原料でもあるタンパク質。業界団体(日本ゼラチン・コラーゲン工業組合)によると、主に牛や豚の骨・皮から作られ、魚由来もあります。ラベルには由来動物までは書かれないのが普通です。 |
ゼラチン
グミ、マシュマロ、ゼリー、ヨーグルト、カプセル(サプリメント・薬)に広く使われます。
| 用語 | 意味と表示上の注意 |
|---|---|
| ゼラチン ぜらちん zerachin | 動物のコラーゲンから作るゲル化剤。日本ゼラチン・コラーゲン工業組合によると、原料の多くは牛や豚の骨・皮で、魚(うろこ・皮)由来のゼラチンもあります。日本の表示ルールでは由来動物の記載は求められておらず、ラベルには「ゼラチン」とだけ書かれるのが普通です。「豚由来」「魚由来」と自主的に書く製品もあります。 見解が分かれる点: 由来動物(豚か、牛か、魚か)や処理方法によって扱いが変わるかは、学派・認証機関で判断が分かれます。ラベルだけでは由来が分からないため、製造者への確認、またはハラール認証済みの製品を探すことが現実的です。 |
動物性油脂
油脂は総称表示が認められているため、ラベル上もっとも「由来が見えにくい」カテゴリのひとつです。
| 用語 | 意味と表示上の注意 |
|---|---|
| 動物油脂/食用動物油脂 どうぶつゆし dōbutsu yushi | 動物性の油脂の総称。JAS規格(ショートニング、食用精製加工油脂)は「豚脂等の動物油脂にあっては『食用動物油脂』と記載してよい」と明記しており、豚・牛・魚のどれ由来かはラベルからは分かりません。 見解が分かれる点: 由来が特定できない油脂の扱いは認証機関によって異なります。由来は表示責任者に確認できます。 |
| 牛脂・ヘット ぎゅうし・へっと gyūshi / hetto | 牛の脂。すき焼き用の脂、カレールウ、スナックなどに使われます。豚由来ではありませんが、と畜方法に関する論点は別にあります。 見解が分かれる点: 非豚由来の動物原料の可否(と畜方法など)は認証機関の審査事項です。 |
| ショートニング しょーとにんぐ shōtoningu | パン・菓子用の加工油脂。JAS規格上、原料は植物油脂にも動物油脂にもなり得ます(「食用油脂を原料として製造した」もの)。植物性と明記がない場合、原料油脂の由来はラベルからは分かりません。 |
| マーガリン まーがりん māgarin | 主に植物油脂から作られますが、動物油脂や乳化剤を含む製品もあります。原材料名の「食用植物油脂」「食用動物油脂」の区分を確認してください。 |
乳化剤と一括名表示
「一括名」は用途を示す名前であって、中身の物質や由来を示しません。ここが日本の表示ルールでいちばん誤解されやすい点です。
| 用語 | 意味と表示上の注意 |
|---|---|
| 乳化剤 にゅうかざい nyūkazai | 水と油を混ぜる添加物の一括名。消費者庁の資料が示すとおり、一括名では個々の物質名は表示されず、原料が動物性(豚由来の脂肪酸を含む)か植物性かもラベルからは分かりません。詳細は表示責任者に問い合わせられます。 見解が分かれる点: 由来不明の乳化剤をどう扱うかは認証機関によって基準が異なります。認証済み製品では、この確認は認証機関が済ませています。 |
| レシチン れしちん reshichin | 代表的な乳化剤。日本では「大豆レシチン」「卵黄レシチン」のように由来つきで書かれることも多く、これらは大豆・卵由来です。単に「レシチン」「乳化剤」とだけある場合は由来は表示されていません。 |
| グリセリン脂肪酸エステル ぐりせりんしぼうさんえすてる guriserin shibōsan esuteru | 広く使われる乳化剤。脂肪酸の原料は植物油にも動物油にもなり得ますが、由来の表示義務はありません。 |
| 香料 こうりょう kōryō | 香りをつける添加物の一括名。配合内容は表示されず、製剤に溶剤・担体としてエタノールが使われることもありますが、ラベルからは分かりません。 見解が分かれる点: 香料中の微量アルコールの扱いは機関・学派で異なります。気になる場合は製造者または認証機関へ。 |
アルコール
アルコールは「お酒らしい名前」だけでなく、添加物名や調味料名の形でも現れます。
| 用語 | 意味と表示上の注意 |
|---|---|
| 酒精 しゅせい shusei | 食品添加物としてのエタノールの表示名のひとつ。業界基準では「アルコール」「エタノール」「エチルアルコール」「酒精」のいずれかで表示するとされています。味噌や醤油などで日持ち向上のために使われるのが典型です。 見解が分かれる点: 発酵由来・添加のエタノールの扱いは学派・認証機関で判断が分かれます。 |
| 本みりん ほんみりん hon-mirin | 全国味淋協会によると、もち米・米麹・焼酎(またはアルコール)から造られ、アルコール分は約14%。酒税法上の酒類です。 見解が分かれる点: みりんを加熱調理で使うことの可否は、学派・認証機関によって判断が分かれる代表的な論点です。判断は認証機関にご相談ください。 |
| みりん風調味料 みりんふうちょうみりょう mirin-fū chōmiryō | 「みりん風」はアルコール分1%未満の調味料で、酒類ではありません。ただしゼロとは限りません。似た名前の「発酵調味料(みりんタイプ・料理酒タイプ)」はアルコール分約10〜14%で、食塩を加えて飲用不可にしたものです。 |
| 料理酒 りょうりしゅ ryōrishu | スーパーの「料理酒」の多くは食塩を加えた発酵調味料で、酒類として扱われませんが、アルコール分は約10〜14%残っています。「塩が入っている=アルコールが無い」ではありません。 |
| 清酒・日本酒 せいしゅ・にほんしゅ seishu / nihonshu | 日本酒。原材料名に「清酒」「日本酒」「酒」として現れることがあります(和惣菜、たれ、麺つゆなど)。 |
| 洋酒・ワイン・ラム酒・ブランデー ようしゅ yōshu | 洋菓子の定番原料。ケーキ、チョコレート、アイスの原材料名に「洋酒」「ラム酒」「ブランデー」「ワイン」として現れます。 |
| 酒粕 さけかす sakekasu | 日本酒を搾った後に残る固形分で、残留アルコールを含みます。粕漬け、甘酒(酒粕タイプ)、汁物に使われます。 |
ラベルに書かれないもの:加工助剤とキャリーオーバー
日本の表示制度には、合法的に「表示されない」使用形態があります。ここは用語というよりルールそのものの話です。
| 用語 | 意味と表示上の注意 |
|---|---|
| 加工助剤 かこうじょざい kakōjozai | 製造中に使われ、最終製品に(実質的に)残らない添加物は表示が免除されます(消費者庁・厚労省)。抽出溶剤や殺菌目的のアルコールがこの形で使われることがあり、その場合ラベルには現れません。 |
| キャリーオーバー きゃりーおーばー kyarīōbā | 原材料に含まれていた添加物が微量持ち越される場合も、効果を発揮しない量なら表示不要です。厚労省のQ&Aは「保存料入り醤油で味付けしたせんべい」を例に挙げています。つまり最終ラベルは、原材料の側で使われたものまでは示しません。 見解が分かれる点: 表示されない微量成分をどこまで問題にするかは、まさに認証機関が工場監査で確認している領域です。ラベルで判断できない部分は、認証やメーカー回答に頼るのが現実的です。 |
よくある質問
ラベルの「酒精」とは何ですか?アルコールですか?
はい。酒精は食品添加物としてのエタノールの表示名のひとつで、「アルコール」「エタノール」「エチルアルコール」と同じものです。味噌や醤油などの日持ち向上のために加えられるのが典型的な使われ方です。
ゼラチンが豚由来か牛由来か、ラベルで見分けられますか?
通常は見分けられません。日本の表示ルールは由来動物の記載を求めておらず、ラベルには「ゼラチン」とだけ書かれるのが普通です。業界団体によると原料の多くは牛や豚の骨・皮で、魚由来もあります。「豚由来」「魚由来」と自主表示する製品もありますが、確実に知るには製造者への確認か、ハラール認証済み製品を選ぶことになります。
みりんと料理用ワインは同じですか?「みりん風調味料」とは?
本みりんはもち米と米麹から造る日本の醸造調味料で、アルコール分約14%の酒類です。みりん風調味料はアルコール分1%未満で酒類ではありません(ゼロとは限りません)。発酵調味料(みりんタイプ)は食塩を加えて飲めなくした調味料で、アルコール分は約10〜14%です。加熱調理での扱いは学派・認証機関で判断が分かれるため、認証機関にご相談ください。
料理酒にアルコールは入っていませんか?
入っています。スーパーの料理酒の多くは食塩を加えた発酵調味料で、酒類としては扱われませんが、アルコール分は約10〜14%あります。塩が入っていることとアルコールが無いことは別の話です。
「香料」にはアルコールが入っていますか?
ラベルからは分かりません。香料は一括名で、配合内容は表示されません。香料製剤には溶剤・担体としてエタノールが使われることがありますが、使われているかどうかは製造者に確認するしかありません。微量アルコールの扱い自体も機関・学派で異なります。
「乳化剤」や「動物油脂」の由来動物は分かりますか?
分かりません。乳化剤は一括名で個々の物質も由来も表示されず、油脂はJAS規格上「食用動物油脂」という総称での表示が認められています。由来はラベルに記載された表示責任者(製造者など)に問い合わせるか、認証済み製品では認証機関が確認済みです。
ラベルに書かれずにアルコールが使われることはありますか?
あります。最終製品に実質的に残らない「加工助剤」(抽出溶剤・殺菌用アルコールなど)や、原材料から微量持ち越される「キャリーオーバー」は表示が免除されます。表示されない使用については、製造者への確認か、工場まで監査するハラール認証が確認手段になります。
可否の判断は認証機関へ
可否の判断・製品単位の確認は、下記のような日本国内のハラール認証機関にご相談ください。掲載団体のサイトはいずれも本ページ作成時(2026年8月7日)にアクセスを確認済みです。承認状況は各団体サイトの記載に基づきます。
- NPO法人 日本ハラール協会(JHA)
大阪拠点。同協会サイトによると、JAKIM(マレーシア)、MUIS(シンガポール)、BPJPH(インドネシア)、HAK(トルコ)、GAC(湾岸諸国)、MOIAT(UAE)の承認・認定を受けています。
- NPO法人 日本アジアハラール協会(NAHA)
千葉拠点。同協会サイトによると、JAKIMとの相互認証を2023年に更新しています。
- 宗教法人 日本ムスリム協会
日本最初期のムスリム団体で、ハラール認証事業を行っています。
出典
- 消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」(一括名・加工助剤・キャリーオーバー)
- 厚生労働省「食品添加物表示Q&A」(エタノールの表示、表示免除の例)
- 日本食品洗浄剤衛生協会「アルコール製剤について」(酒精など4つの表示名)
- 全国味淋協会「本みりんの知識」(本みりん約14%・みりん風調味料1%未満・発酵調味料)
- 日本ゼラチン・コラーゲン工業組合「ゼラチンって何?」(原料:牛・豚の骨と皮、魚)
- 農林水産省 JAS 0989:2024「ショートニング」(動物油脂の総称表示を認める規定)
- 農林水産省 JAS 1424「食用精製加工油脂」(同上)
上記の各資料は 2026/08/07 に取得・確認しました。表示制度は改正されることがあります。最新の制度は消費者庁の食品表示ページをご確認ください。